
男の子が生まれて初めて迎える5月5日「端午の節句(初節句)」。
赤ちゃんの健やかな成長と、災厄から守りたいという家族の愛情が詰まった、一生に一度の大切な行事です。
でも、いざ準備を始めようとすると、多くのパパ・ママがこんな疑問にぶつかります。
特に五月人形の購入をめぐっては、地域に根づいた風習や実家ごとの価値観の違いから両家の意見が食い違い、思わぬトラブルに発展することも少なくありません。
この記事では、五月人形の伝統的な風習から現代の最新トレンド、住環境に合わせた新しい選択肢、後悔しない選び方とお返しのマナーを解説します。
初節句の五月人形は本当に必要?「買わない」という選択肢を考える
五月人形には、男の子の身代わりとなって病気や事故などの災いから守る「厄除け(お守り)」としての重要な意味があります。
伝統的には「用意して当たり前」とされてきましたが、ライフスタイルが多様化した現代では、その形も大きく変わってきています。
現代の住宅事情が生む「置く場所がない」問題
最近はマンションやアパート住まいのファミリーも増え、「大きな飾りを置くスペースがない」「オフシーズンにしまうクローゼットの余裕がない」という悩みをよく耳にします。
また、転勤が多い家庭では荷物を増やしたくないという現実的な問題もあります。
一戸建ての家であっても飾るスペースの問題でベランダ用の鯉のぼり(外飾り)だけで、五月人形は買わないというお家も増えています。
五月人形を買わない、あるいは飾らないからといって子どもへの愛情が否定されるわけではありません。
大切なのは「今の自分たちの生活に合った形でお祝いをする」という心がけです。
まずは代替案や現代的な選択肢を知ることから始めてみましょう。
インテリアに溶け込むコンパクト五月人形が人気
「大きなものは無理だけど、季節の行事として何か飾りたい」というパパ・ママに今大人気なのが、インテリア性の高いコンパクトな五月人形です。
従来の黒・金・赤といった重厚な色合いだけでなく、北欧風リビングやナチュラルな木目調家具に馴染む淡いニュアンスカラーの兜飾りや木製の武者人形がトレンドになっています。
手のひらサイズのちりめん細工、ガラス製・陶器製のミニチュア、子供が好きなキャラクター、ホコリが被らないアクリルケース入りの兜など、省スペースとデザイン性を両立したアイテムが豊富に揃っています。

「買わずに体験する」フォトスタジオ・レンタルサービスも定着
形として残るものを所有せず、その瞬間の思い出を最高のものにするという選択肢も増えています。
本格的な陣羽織や布製の兜を使って自宅でセルフ撮影をしたり、プロのフォトスタジオで初節句専用の記念撮影をしたりする方法です。
さらに「シーズン中だけ五月人形をレンタルする」シェアリングサービスを利用する家庭も登場しています。
毎年異なるデザインの兜を楽しめ、収納場所に頭を悩ませる必要もないというメリットがあります。
五月人形は誰が買う?両家の風習と地域ごとの違い
五月人形を誰が購入するかは、初節句の準備で最も議論になりやすいテーマです。
まずは伝統的な風習の背景から理解しておきましょう。
「母方の実家」が用意する伝統的な理由
日本の古い習わしでは、初節句の飾り(雛人形・五月人形)は母方の実家が購入して贈るのが一般的とされてきました。
その背景には、昔は嫁入りした娘の実家が夫の家に足を運びにくかった事情があります。
「節句のお祝いを届ける」という大義名分を作ることで孫の顔を堂々と見に行ける。
そんな知恵から生まれた風習だそうです。
この慣習は現在でも多くの地域で根強く残っています。
地域によっては「父方の実家」が主導するケースも
一方、地域によっては全く逆の風習が存在します。
男の子の初節句を「跡取り息子のお披露目」と捉え、「内飾り(五月人形)は父方が用意し、外飾り(鯉のぼり)は母方が用意する」という役割分担が慣例になっている地域もあります。
九州地方や関西の一部では、男の子のお祝いは父方の実家が主導するケースも見られ、一概に「母方が買うもの」とは言えないのが実情のようです。
揉めないためのポイント:まず両家に確認する
トラブルのほとんどは、お互いの実家の風習の違いを把握しないまま話が進んでしまうことで起こります。
旦那さんの実家では「母方が用意するもの」、奥さんの実家では「男の子なので父方が用意するもの」と、それぞれが当然だと思っていたら大変なことになりますよね。
逆に両家とも用意する気満々でいるというパターンも。
だからこそ早い段階でそれぞれの実家の考えをリサーチしパパとママが主導権を持って進めることが重要です。
次男・三男が生まれたときの五月人形はどうする?
「2人目の男の子が生まれたら五月人形はどうする?」という疑問もよく聞かれます。
五月人形は子ども一人ひとりの「厄除けのお守り」なので、長男のものを次男に引き継ぐのは本来避けるべきとされています。
ただ、同じサイズを複数飾るのは現実的に難しいため、次男・三男には名前旗(刺繍で名前が入ったタペストリー)を新調したり、小さめの武者人形を追加で並べたりするケースが一般的です。
両家で揉めない!現代の購入スタイルと円満な解決策
両実家の風習がぶつかり合いそうなとき、どのように解決するのがいいのでしょうか?
最もトラブルが少ない方法は「自分たちで購入する」
どちらの実家からも独立して暮らしている場合や、両家の意見調整が難しい場合のベストな解決策はパパとママが自分たちで購入することです。
実家には「今の部屋のインテリアや飾れるスペースに合わせて自分たちで選びたいから、気持ちだけいただきますね」と伝えれば角を立てずに主導権を持てます。
「せっかく買ってもらったのに部屋に合わない」という悲劇も防げますし、自分たちが本当に気に入ったものを長く大切にできます。
スマートで公平な「お祝い金折半+自分たちが購入」スタイル
現代の最もスマートなトレンドとして定着しているのが、両家の祖父母から「お祝い金(現金)」をいただき、それを原資にパパとママが五月人形を選ぶ方法です。
両家の貢献が金銭的に公平になるため不満が生まれにくく、購入代金で余ったお祝い金は食事会の費用や子どもの将来の貯金に充てられます。
合理的で実用的なこのスタイルは、今後もスタンダードになっていくでしょう。
同居している場合は同居先の風習を優先
もしどちらかの実家と同居しているなら、日常的にお世話になっている側の実家の意向を尊重するのが、その後の関係をスムーズに保つコツです。
無理に自分たちの考えを押し通そうとすると、長い親戚付き合いに影を落とすことになりかねません。
失敗しない五月人形の選び方|種類・予算・チェックリスト
お店やネットショップを見ると、種類の多さと価格帯の広さに圧倒されてしまうかもしれません。
ここでは代表的な3種類の特徴と、購入前に必ず確認すべきポイントを解説します。
こだわればもっと高額なものもありますが、一般的なものならこのぐらいだと考えておいてください。
鎧飾り(よろいかざり)の特徴と予算相場
予算相場:10万円〜30万円以上
頭から足元まで全身の甲冑が揃った、最も豪華で本格的な飾りです。
男の子の身体全体を守るという意味が込められており、職人の技が光る逸品が多く見られます。
見栄えは抜群ですが、飾るための広いスペースとオフシーズンの収納箱の大きさを事前に必ず確認しましょう。
兜飾り(かぶとかざり)の特徴と予算相場
予算相場:5万円〜20万円
頭部(兜)と弓太刀を中心にコンパクトにまとめた飾りで、現代の住宅事情に最もマッチしています。
ガラスやアクリルカバー付きの「ケース飾り」は、箱から出すだけで設置完了・お手入れ不要で共働き世帯に大人気です。
また、子どもが3〜5歳になったときに実際に頭へ被って記念撮影できる「着用兜(ちゃくようかぶと)」も人気のバリエーション。
成長した姿で毎年撮影できるのが嬉しいポイントです。
武者人形(大将飾り)の特徴と予算相場
予算相場:3万円〜15万円
凛々しくも可愛らしい子どもの姿をした人形で、「子供大将」「大将飾り」とも呼ばれます。
桃太郎・金太郎・源義経などをモチーフにしたものが多いです。
親しみやすさとコンパクトさを重視する家庭に人気です。
購入前に確認すべき4つのチェックポイント
| チェック項目 | なぜ確認が必要か |
|---|---|
| 飾る場所の正確な採寸 | 幅だけでなく「奥行き」が想定より深いことがよくある |
| 収納時の箱のサイズ | 1年のうち11か月は箱の中。クローゼットに収まるか要確認 |
| 素材とお手入れ方法 | 正絹・真鍮は高級だが湿気に弱いため管理に注意が必要 |
| 組み立て・片付けの手軽さ | パーツが多いと毎年の出し入れが負担になることがある |
飾るスペースの「奥行き」は見落としがちなポイントです。
カタログやサイトに記載されているサイズと実際の箱のサイズが異なる場合もあるため、お店で現物を確認するのが安心です。
初節句のお返し(内祝い)の正しいマナーと現代的な贈り方
五月人形をプレゼントしてもらったり、親戚から高額なお祝い金をいただいたりしたとき、お返しをどうすればいいかは多くの方が悩むポイントです。
子どものお祝いへのお返しは「本来不要」?
日本の伝統的な贈答マナーでは、子どもへのお祝いに対するお返し(品物)は本来不要とされています。お祝いの主役は子どもであり、子ども自身には収入がないからです。
しかし、何もアクションを起こさないのは「礼儀知らず」と思われてしまうリスクも。
大切なのは感謝の気持ちを形にすることです。
最高のお返しは「食事会へのご招待」
初節句のお返しとして最も正しく喜ばれるのは、お祝いをくれた両親や親戚を自宅やレストランに招いて食事会(祝い膳)を開催することです。
買ってもらった五月人形を実際に見てもらいながら、ちまきや柏餅、鯛やタケノコなど縁起の良い食材を囲んで楽しい時間を共有する。
この体験そのものが何よりのお返しになります。
食事会に招待した場合は、別途お返しの品物を用意する必要はありません。
遠方の方への内祝い:金額・のしのマナー
体調や距離の都合で食事会に参加できない方からいただいた場合は、初節句が済んだ後(5月中旬頃まで)に「内祝い」として品物を配送します。
- 金額の目安:いただいたお祝い金額の「3分の1〜半返し(2分の1)」が相場
- 水引:紅白の蝶結び(何度あっても良いお祝い用)
- 表書き:上に「内祝」または「初節句内祝」、下に子どもの名前(漢字+ふりがな)を記載。
親の苗字は書かないのが一般的
祖父母へのお返しには「思い出」が最高の贈り物
高額な五月人形を贈ってくれた祖父母に律儀に「半返し」でカタログギフトを贈ると、「水臭い」「孫のために買ったのに…」とかえって寂しい思いをさせてしまうことがあります。
そんな祖父母への贈り物として今人気なのが、初節句の記念写真を使ったオリジナルフォトブックです。
スマホアプリから簡単に作れて直送できるサービスも多く、涙を流して喜ばれる贈り物の定番になっています。
また、スマホやテレビで孫の写真・動画をリアルタイムで見られるデジタルフォトフレームを贈るケースも増えています。
お金では買えない「孫の成長」を贈るという発想が、現代の内祝いのトレンドです。
初節句の食事会はどうする?祝い膳の定番メニューと準備のコツ
食事会は、五月人形をお披露目し、みんなで赤ちゃんの健やかな成長を祈る大切な場です。
どんな料理を用意すればよいか、迷う方も多いのではないでしょうか。
端午の節句に欠かせない縁起食材
初節句の祝い膳には、縁起の良い意味を持つ食材を使うのが伝統です。
代表的なものをご紹介します。
- 柏餅:柏の葉は新芽が出るまで古い葉が落ちないことから「家系が途絶えない(子孫繁栄)」の象徴
- ちまき:邪気を払う力があるとされ、特に関西では端午の節句の定番
- 鯛:「めでたい」の語呂合わせで、お祝い事の席には欠かせない魚
- タケノコ:真っすぐに力強く育つ様子が男の子の成長の象徴
- ハマグリ:対の貝しか合わさらないことから、良い縁や夫婦円満の意味も
自宅で準備が難しい場合は、懐石料理店や日本料理店の「初節句プラン」を利用するのも賢い選択です。
最近は個室での家族会食プランを用意しているお店も増えています。
食事会の日取りと準備スケジュール
食事会は必ずしも5月5日当日に開かなくても構いません。
両家の祖父母を招く場合は、全員の都合が合うゴールデンウィーク中の日程を早めに調整しておくのがポイントです。
準備のスケジュール目安
まとめ|大切なのは家族みんなが笑顔で迎えること
男の子の健やかな未来を願う「初節句」と「五月人形」の準備は、単なる年中行事ではなく、新しく増えた家族をめぐる親戚同士のコミュニケーションの機会でもあります。
伝統的な風習を大切にしながらも、今の自分たちの住環境やライフスタイルに合わせた形を選んで大丈夫です。
おしゃれな木製兜も、コンパクトなケース飾りも、フォトスタジオでの記念撮影も、すべてが家族の愛情の形。
お子さんと家族みんなにとって忘れられない、素敵な端午の節句を迎えてくださいね。




